翡翠の歌

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ペーパーナイフ [原作と文具]




おなじみの凶器、ペーパーナイフ。


何に使うのか、子どもだった私には、でも当時大人だったとしても多分わかりませんでした。ぺーパーって、何ペーパー用? まっすぐだから"突く"しかないんだよね?


同じ頃、装飾のついた、でも刃はついていない長さ15センチくらいのナイフっぽい外国土産をもらったので、これかな? 刃がないのにナイフ? 切れないでしょ。じゃあ、これは単なる飾り?


今では知っていますよ、改めて見れば、レナーテもそんな手つきでしたしね。当時は本のページが裁断されていなかったので、その輪の部分にペーパーナイフを入れて切っては読み進めていたってこと。でもそのうち裁断されるようになって、不要になったってこと。"オルフェウスの窓"のおかげでまた一つだけ利口になれました。


それにしても、レナーテの使っていたものは、ペーパーナイフにしてはいやに長くて鋭い。ユリウスを"その気"にさせてしまった罪深い文具です。





さて、探してみると、ペーパーナイフ、今でもレターオープナーとして結構売っていますね。文具専門店や貴金属店、高級紳士用品店の、万年筆やペーパーウエイト、パイプと並んで。


何かと買い集め、その中のひとつ、画像のは燕市のカトラリー専門店、荒澤製作所のオンラインショップで購入しました(2023年2月現在は扱っていないようです)


袋とじ!の本は手元にありませんが、手紙やDMの開封用にと家のあちこちに置いてあります。ビリビリ破らず、お上品にいこうってことでw


そして、封筒の封の仕方もペーパーナイフがらみで知りました。つまりは、ペーパーナイフを差し入れて封を切るために、べたっと全てを糊付けせず、切っ先が入る+αの隙間をとっておくということです。ごくたまに、親切心か安全性からかぴっちり糊付けしている封筒が届くと、私のペーパーナイフの活躍の機会が!と思ってしまいます。





ここで、変わり種をご紹介します。


岡山県勝田郡の奈義町現代美術館のミュージアムショップで購入したもの。岡崎和郎作『HISASHI』を模したペーパーナイフです。先端が丸く、突くには持ち手部分が安定しないので凶器には不適、従って、安全です。





この"芸術作品"をペーパーナイフ(レターオープナー)にしよう(そして販売しよう)っていう発想がすごいですね。なお、作品そのものは巨大です。


現代アート、特に荒川修作が好きな方にはお勧めの美術館です。


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当時は知らなかった文具と言えば、ブロッター(吸取器)。レオニードがヴェーラに「それはわからぬ おまえの恋人だった男の仲間でないことはたしかだが」と言いながら使っている半月形のコロンとした謎の物体。ペン専門店の棚に見つけた時は、おーっという感じでした。でも、遠い記憶を辿れば、実は当時の職員室の机上にもあったような・・・。


因みに羽ペンは好みの書き味になるよう自分で削るんですってね。それはガラスペンも金属のペン先も究極はそうらしいんですけど、羽ペンはまず"何の羽"か、から選び、軸の長さやペン先の角度等を決めるという自由度が大きいです。


よく書き物をしていた登場人物たちは、どんな筆跡でどんな書き心地、どんなペンが好みだったのでしょうか。