画像は、宮殿橋の前の川面です。濃い紺色一色、引き込まれそうな深さと流れの速さです。でも、冬にはエルミタージュ美術館から対岸のペトロパブロフスク要塞まで歩いて渡れるのですから、半端ない寒さですね。
● ● ● ● ●
ご存知の通り、ラドガ湖から発する川で、その三角洲がサンクト・ペテルブルク市中心部です。
“ネバ”と書かれているものもありますが、“NEVA”(ローマ字表記)ですので、“ネヴァ”のほうが合っていると思います。より実際に近い発音としては、“A”にアクセントがありますから、“ニィヴァー”ですね。(ロシア語では、アクセントのある母音を長く発音します)
日本人には“ネヴァ”と聞こえる発音の、“NEBO”(ローマ字表記)という単語があります。アクセントが“E”にありますので、発音は“ニィエーバ”です。意味は“空”とか“天”で、ロシアの歌や詩によく登場します。「ニィエーバって聞こえたからネヴァ川の歌?」とはなりませんのでご注意を。
*
さて、“ネヴァ”はさみしい単語のようです。辞書でも前後に派生語や関連語は見当たりません。つまり、ロシア語の“何か”からつけられた川名ではないようで、その語源はフィン語の“泥”という説が有力です(何かとサンクト・ペテルブルクは"泥"だらけ)。
*
また、おなじみ、“ネフスキー大通り”の“ネフスキー”は“ネヴァ”から派生した固有名詞的な言葉です。
中世ロシアの英雄アレクサンドル・ヤロスラヴィッチ大公が、スウェーデン軍がノヴゴロドに侵攻した"ネヴァ河畔の闘い"で、僅かな兵力で大勝し、後世、"ネフスキー"(ネヴァ川の勝利者という意味)と聖人に列せられました。
5世紀後、ピョートル大帝はサンクト・ペテルブルク建都にあたり、その聖遺物をロシア中部のウラジーミルから移し、アレクサンドル・ネフスキー修道院を建立しました。そして要塞(現・旧海軍省)と修道院を結ぶネフスキー大通りが敷設されました。
*
アクセントが前にきますので実際の発音は、“ニィエーフスキ”。日本語的にはちょっと寸詰まり。そして同様に“ロストフスキー大尉”は“ラストーフスキ大尉”です。イメージ変わっちゃいますかね。スミマセン。