この写真は、キジ島の空です。ロシア連邦カレリア共和国のオネガ湖に浮かぶ島で、ロシア正教会の木造教会建築群で知られる、ロシア有数の観光地です。グーグルアースで散歩できますので、どうぞお楽しみください。
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木材だけを組み合わせて作られたおなじみの玉ねぎ頭を持つこれらの教会や民家(大地主クラスのもの)は、実は元々は島外の各地にあったのですが、保全のため移設されたものです。
ソ連時代、宗教は冷遇され、これらの教会もほったらかしでした。厳しい冬のためにどんどん廃れていく建物をメンテナンスし補修しようにも、特別保全地域に指定したり、世界遺産に登録されたりして、表向きの"大切にしていますよ"アピールとは裏腹に政府からの十分な資金もなく、寄木建築物の伝承技術も絶えており、地元のごくごく少数の方が細々と支えていたそうです。
ソ連崩壊の混乱後もしばらくはその状況が続きましたが、ようやく本格的に補修が始まり、2015年時点でも足場を組んで継続中でした。ロシア人の"工事"は十年単位で進むので、既に完了したのか、ウクライナ侵略戦争によって中断しているのか、不明です。