大階段から左へ入ってすぐの部屋。控えの間のひとつで来訪者はここで待ちます。壁一面の大きなタペストリーは革命後接収され、現在はエルミタージュ美術館にあり、代わりに、布に油絵の具で描いた複製品が掛けられています。
ほかにも、殿内の壁を埋め尽くしていた絵画も、随分持って行かれてしまったとのことです。
● ● ● ● ●
"タペストリーの間"と接収されたタペストリーについての、《THE YUSUPOV PALACE》からの引用です(原文は英語)。
・・・1845年、宮殿の建設工事を再開し、メイン階段の左右にはウインターガーデン(温室)とタペストリーの間が設けられた。これらはまたしても華やかな舞踏会で祝われ、上流階級のニュース版で、次のように報道された。
「・・・もうひとつの新しい部屋は応接間となっている。かつてルイ14世の居室を飾った有名なゴブラン織りのタペストリーが壁を覆っている。タペストリーの間の天井は型押しされているが、磁器でできているように見える。天井からは、17世紀様式のセーヴルのシャンデリアが吊り下げられている。その白いすりガラスの球からは心地よい薄明かりが差し込み、織物や豪華な彫刻が施された暗い額縁に降り注ぐ」
実際、タペストリーの間は、新しいファッションのオマージュとしてだけでなく、フランス皇帝ナポレオンから、ニコライ・ユスポフ父公への贈り物である、17世紀に織られたフランドルとフランスのタペストリーを最高の形で展示するために設計された・・・