ネットのない時代、“ゲオルク・スターラー”ってどんなもの?と想像しては憧れました。原作で大きく描かれたことはなく、“スターラー”だから星柄?とか。
今はネット様々ですね。検索すれば何でも日本語でわかりますし。そしてついには買ってしまいました。この画像はそれです。
購入したのは、イタリアの日本人女性のアンティークショップLabarumのサイトから。ゲオルクス・ターラーについての詳細な説明文の中には、“オルフェウスの窓”のことも触れられています。
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原作のあら探しなんて、とは思いますが、私の場合そこに何一つ否定的な意味はなく、知っていく過程においてより原作の深みにはまっていくのだと実感しています。“聖ゲオルクのターラー”だから正しくはゲオルクス・ターラーなんだとか、ロシア語はアクセントのある母音を長く発音するからツァールスコエ・セーロではなくツァールスコエ・セローなんだとか・・・。
それに、誰作曲の“ロマンス”だったのか、“ヴァルハラ”って走っていくにはちょっと距離ない?(そもそも、当時は何なのかもわかりませんでした)とか様々な疑問に検証を加えれば、読み応えのある『オルフェウスの窓用語・地名事典』ができそうです。
とどのつまり(!)、厳しい冷戦下、東西ドイツだった頃に、漫画家グループの個人旅行で、ほとんどの日本人には無名のレーゲンスブルクに訪れて着想し、さらに、伝手を辿って、鉄のカーテンに覆われたガッチガチの共産体制のソ連を取材、ネットはおろか日本中の図書館にも求める資料などないと言っても過言ではない時代に、これほどの厚みと広がりのある作品を生み出された(そしてともかくも、ともかくも完結させた)池田理代子さんは本当にすばらしい! 尊敬と感謝の気持ちでいっぱいです。
ネットがあっても描けませんもの。