写真は、キジ島への観光船が発着する桟橋の反対側に広がる白樺林です。
聞くところによると、白樺という樹木は生存競争に弱いので、他種の樹木の中では負けてしまって育ちにくいそうです。それでこうやって白樺だけの“林”がよく見られるのかもしれません。
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さて、念願かなって訪れた際、是非とも現地の方に尋ねたいと思っていたのが、“キジ”の発音です。
ロシア語では、こう、つづります(ここではすべて大文字で書きます)。
КИЖИ
若い頃入手した手元の書籍やパンフレットの日本語では“キジー”と“キージ”が主流でした。でも、ロシア語はアクセントのある母音を長く伸ばすので、「アクセントの位置が二通りある単語?」と、大いに疑問だったのです。
インターネットのない時代には、どちらが本当の発音なのか調べようもありませんでした。私の持つ露和辞典の固有名詞のページにも不掲載です。
で、結局、正解は“キジ”。ロシア語的なアクセントはなし!です。理由は、そもそもロシア語ではないから!
この地域の先住民のカレリア人たちの言葉で、“祭礼の場”を意味するそうです。あーっ、すっきりしました。
もちろん、日本語でもよくある、『外国の固有名詞を、母国語的に発音する』こともあるので、ロシア人でも“キジー”や“キージ”と発音しているかもしれませんが、基本は、“キジ”のよう。
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アクセントの位置といえば、おなじみのルパシカ。
рубашка
発音は、“ルバーシカ”。“パ”でなく“バ”です。
意味は、アレクセイやズボフスキー、最後のほうではロストフスキーも着ていたロシア民族衣装っぽい、刺繍(開口部から“わるいもの”が入り込まないおなじない)があって、袖口が広い、日本でいうルパシカも含め、シャツ全般を指します。軍服の上衣(軍用シャツ)も意味するので、レオニードのあのたふたふのシャツも“ルパシカ”ですね。
なお、指小形と呼ばれる、名詞をかわいく表現する言葉があります。“犬”を“わんこ”みたいに。рубашкаのそれは、рубашечка(ルバーシェチカ)です。
アレクセイのお下がりでなく、ユリウスサイズのなら、そう呼べるようなかわいいルパシカだったでしょうね。
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【補足】
ロシア語の文字をパソコンなどで入力してみたい時は、“キリル”と入力すれば一覧表が表示されますので、その中から選択してください。これですと一文字一文字なので、文章を入力したいならば、キーボードをロシア語対応に設定するのがお勧めです。