画像は、キジ島の空を飛ぶ鳥です。
原作に登場する動物を表すロシア語をご紹介しましょう。
●マリア・バルバラ姉さまの猟犬、セリフだけですがリュドミールがお屋敷に入れた犬、校長先生のダックス
・犬 собака
・わんこ собачка
・オス犬 пёс
・メス犬 сука
・子犬 щeнок
・猟犬 гончая
・ダックスフント такса
●アレクセイの愛馬マルコー、ヒロインに乗り潰された馬車から外された馬
・馬 лошадь
・お馬さん лошадка
・オス馬、乗馬用、馬車用の馬 конь
・メス馬 кобыла
・子馬、仔馬 жeрeбёнок
пони
●ポケットに入れたヘビ(の干物)
・へび змeя
・南方の大蛇(ボワ) удав
・物語の怪獣 змeй
змeйка
●猫は? 原作には見つけられませんでしたが、サンクト・ペテルブルクと関係が深いのでご紹介。エルミタージュ美術館のねずみ対策に導入されていることで有名な一方、街のところどころに、猫の像があります。第二次世界大戦時、ドイツ軍により封鎖され、多くが餓死する中、猫や犬、革や植物でできた身の回りのものを食べるしかありませんでした。そのような背景から、平和を祈念する文字が掲げられている像もあります。
エカテリーナ2世像と、ネフスキー大通りをはさんで向かい側の通り(車は入れない)の像は、GoogleEarth↓でも見ることができます。
・オス猫 кот
・メス猫 кошка
・仔猫・子猫・にゃんこ котёнок
● ● ● ● ●
1703年、ピョートル1世が建都した、"聖ペテロの町"の名前の変遷の考察です(アルファベット部分の下線は長さアクセント位置)。
1,1703年の建都当初
サンクト・ピーテルブールフ
Санкт-Петер-Бурх
オランダ語風に命名。
2,まもなく〜1914年 (約200年間)
サンクト・ペテルブルク
Санкт-Петербург (発音:サンクトピチルブールク)
ドイツ語風なつづりですが、発音は、語尾の有声子音を無声化するロシア語風。
・短く:Петербург
・愛称:Петер (発音:ピーチェル)
3,1914〜1924年 (10年間)
ペトログラード
Петроград
第一次世界大戦で、ドイツ帝国と交戦状態になったため、古代教会スラヴ語風に(ロシア語ではないためか、語尾は濁るようです)。
4,1924〜1991年 (約70年間)
レニングラート
Ленинград (発音:リニングラート)
ソビエト連邦が建国し、"レーニンの街"へ。
5,1991年〜現在
サンクト・ペテルブルク
Санкт-Петербург
ソ連崩壊により、80年前の名前に戻る(対独感情のよい時期であったためか、改称期間が短かったためか、ペトログラードにはならなかった)
ただし、州名は、従来通り、レニングラード州。ほかにも改称していないものも結構あります。格変化によりДが語尾にならず無声化しないので、日本語的にはレニングラードで正しい? 難しい…。
*
A 日本語では
一部、混同が見られます。ロシア語では、語尾の有声子音は無声化するので、現地発音も濁りませんが、英語やドイツ語の、つづりや発音からの誤解か、濁っている場合があります。ただ、日本における外交上や発行物の表記ルールがどうなっているかは不知です。
正:サンクト・ペテルブルク
誤:サンクト・ペテルブルグ
正:レニングラート
誤:レニングラード
B ドイツ語では
Sankt Petersburg
・古典的発音:ザンクト・ペーテルスブルク
・現在の口語発音:ザンクト・ペータスブアク
綴りに"s"が入る。発音は、"サ"が濁るが、語尾は、ロシア語同様、無声化のため濁らない。
C 英語では
Saint Petersburg (セント・ピーターズバーグ)
D フィンランド語では
Pietari (ピエタリ)
"ペテロ"を表す
(参考:Wikipedia)