翡翠の歌

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ラフタ・センター 少しは良かった話







2020年少し前あたりからサンクト・ペテルブルクの新名所としてカレンダーにもニューッと登場するようになった、巨大なタワービル(画像はカレンダーのものです。もしかしたらカレンダー用に合成等されているかもしれません)


名称は、“ラフタ・センター”(Лахта Центр)。エルミタージュ美術館からフィンランド湾に向かって、右方向にあるラフタという地区に建てられました。ウィキペディアによると、2020年末の完成予定で、462mの、ヨーロッパとロシアで最も高いビルになるとのこと。このような“現代的だけどちょっとかわったテイスト”の建築物は、魔都モスクワ市ではおなじみですが、サンクト・ペテルブルク市にはニューフェイス(古い!)


ウクライナ侵略直前までは、建築主の半国営石油企業ガスプロムは、天然ガスの生産・供給において世界最大の企業で、ここを業務機能の中枢とするようです。話題の“プーチン宮殿“同様、人って地位と権力を極めると、こういう方向へ針路をとっちゃうんですね。強大国を目指して、見渡す限りの沼地に石の都を築いたピョートル大帝と同じ? う〜ん・・・。そういえば、スターリンの"ウエディングケーキ宮殿もこんな感じですね(7つ計画し、途中で断念)。"


それにしても、落成・営業開始直後の侵略の影響で、欧米や日本の大企業はほとんど撤退しましたし、ロシアの大富豪の私企業や(半)国営企業も怪しい経営状況ですので、果たしてどれほど機能しているのでしょうか。建てたからには廃墟にならないで。





さて、窓ファンとしての問題点は、これからは、エルミタージュ美術館(冬宮)はもちろん、旧海軍省や血の上の教会、イサク寺院など、おなじみの観光名所の画像の背景に、うっかりすると、いや大抵、この巨大蟻塚みたいな物体が映り込んでくること。多くの噴水で有名なピョートル宮殿の画像にも対岸にお邪魔するでしょう。


「サンクト・ペテルブルクの古い街並みや建物が好きだからずっとそのままで」というのは観光客の勝手な考えですから、そこに住む人々がそれを選択したなら文句を言える筋合いではないのですが、ちょっと残念です。何もそこまで大きいものを作らなくても・・・でも、そんな前代未聞の記念構造物を打ち立てるのが権力者の性なのでしょうか。


驚くことに何と、当初この高層ビルは市の中心部!に建築予定でしたが、幸いにも市や市民からの反対が起こり、また、世界遺産に登録されている歴史地区であることからUNESCOからも勧告を受け、郊外に変更になりました。反対してくださってありがとう!ですね。












★ ←このあたりがピョートル宮殿





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