翡翠の歌

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ピョートル宮殿 : 庭園 (噴水)[生活の支えは神父?] [華麗なるダイナスティK]




習得したヨーロッパの技術により、わずかな勾配を利用して造った、たくさんの噴水があちこちにあります。このように、泳げそうな広さのものから、どこから水が出てくるかわからない遊具であったり、巨大な段々の滝であったり、ピョートル大帝の気質がうかがえます。


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総財産に比べれば、ごくわずかなものしか持ち出せず、切り売りして暮らしていたフィリックス夫妻。もし原作のように、皇室の隠し財産の秘密を知っていたなら、持ち出す伝手もあって、有能で忠実なあの執事さんに手配しておいてもらえばよかったのに。でも、自分たちの身分がなくなる、とんでも世界になって、まさか戻れなくなるとは思っていなかったようですね。


そうして、次第に困窮していく中、収入となったのが、神父暗殺の事情を綴った著作の印税。そして、事件をテーマにしてアメリカで作られた映画の設定が、妻が神父と性交渉があったとされ、それを名誉棄損で訴えて得た賠償金だったとか。皮肉です。


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以下、アエロフロート機内誌(2015年秋号)掲載の、《華麗なるダイナスティ ユスポフ家》からの引用記事です。





・・・アメリカ旅行の折、空前の好景気に沸くローリング・トウェンティ(狂乱の20年代)の繁栄ぶりを見て、妻イリーナは、オートクチュールのブティックを開くことを思いつく。


開店資金のために、カルチエにダイアモンド"北極星"*1を売却。店名は、イリーナとフェリックスの頭文字をとって《IRFE》とし、瞬く間に名声を得た。


この影響で他の亡命貴族も同様の事業を始めた。ココ・シャネルがフェリックスの親友ドミートリー大公と知り合い、恋仲になったのもこの時代である。シャネルは大公からロシア宮廷御用達の調香師エルネスト・ボー*2を紹介され、香水シャネルbTを開発した・・・





引用の続きは、第2部A 26へ 




*1 "ポーラスター"と呼ばれた、41.28カラットのインド産ダイアモンド。ナポレオンの兄、ジョゼフが所有し、失脚後、ユスポフ家に移った。


*2 『シャネルbTの謎 帝政ロシアの調香師』 (大野斉子著 群像社発行)に詳細があります