翡翠の歌

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キジ島 : 草花 [亜麻色] [華麗なるダイナスティB]




キジ島のあちこちに小さくて背の高い草花が咲いていました。外来種でないといいのですが。





数年前、瀬戸内に新しく建てられた美術館を訪れました。その世界観で敷地全体の植栽も造られているのですが、その中に、ぽつんと、見覚えのある、濃い黄色の草花がひとつ。オオキンケイギクです。


特定外来生物に指定されていて、栽培も野外に放つことも禁止されていますから、図らずも、種が飛んできたり、土に混ざっていたりしたのでしょう。


周囲に同じような背丈の小さな草花が植えられているので、オオキンケイギクがそこにあっても違和感を抱く人はあまりいないかもしれませんが、法がどうのこうの、より、放っておくと、そのうち、せっかくの庭園が真っ黄色になってしまいます。


受付の人にお伝えしましたが、自分には植物の知識がないとのこと。放置せず、上の方に報告が行って、自美術館の世界観を維持することを祈るばかりです。


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さて、原作に登場する植物のひとつ、"亜麻"。


"亜麻色"とは、亜麻の茎から取り出した繊維の色で、黄みを帯びた茶色、それも結構、薄め。"亜麻色の髪"は、金髪の形容だとも、栗毛の形容だともされます。





先のオオキンケイギクと同じくらいの背丈の一年草で、小さな花は薄い青色です。原産は中東ですが、今は世界中で栽培されています。


日本では明治時代、国策としてロシア産などの種子を導入して、北海道や長野など寒冷地で栽培されました。戦後、輸入品のほうが安かったので廃れましたが、20年前くらいから北海道で復活させようという活動が起き、当別町亜麻生産組合などが、今でも続いているようです。園芸種を買って、私も育ててみましたが、容易な植物です。





亜麻の用途は、茎の繊維を取り出し紡いで"亜麻糸"とし、織って"亜麻布"(リネン linen)を作ます。強靭なので、テントや大航海時代の帆船の帆としても利用されました。種子(亜麻仁)は圧搾して、"亜麻仁油"を採り、食材や塗料、油彩の油にします。お、懐かしい。





"亜麻"は日本工業規格(JIS)上は"麻"と表記されるそうで、あら、あれも、これも、実は亜麻製だったの? 本当の"麻"は、大麻の繊維で、ヘンプやジュート等と呼び、"亜麻"より硬めとか。





亜麻糸のことを、古くは英語でline(ライン)といい、やがて、"線"や"筋"を意味するようになりました。フランス語ではlin(ラン)といい、ランジェリーは、亜麻の高級繊維を使用した女性の下着に由来するらしいです。





まあ、亜麻も日本にとっては"外来種"ですが、他の植物を駆逐する強さはないので、wantedにはなっていません。でも、オオキンケイギクだって、元はと言えば、多年草で根っこが強く張り、場所を選ばず、放っておいてもどんどん増えていくという性質を見込まれ、全国の法面緑化のために輸入された上、鑑賞用に一般にも売られていたのですけど。


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以下、アエロフロート機内誌(2015年秋号)掲載の、《華麗なるダイナスティ ユスポフ家》からの引用記事です。


・・・ユスポフ家は有能な廷臣の家系として確固たる地位を築いていく。


ボリス・グリゴリエヴィチ・ユスポフ(1695〜1759)はピョートル大帝からロシア近代化の任を受けて西欧に留学し、モスクワ知事も務めた。


息子のニコライ・ボリソヴィチ・ユスポフ(1750〜1831)は、北方のヴェルサイユとして有名なアルハンゲリスコエの邸宅を購入し、改築。皇帝の最側近として、パーヴェル1世、アレクサンドル1世、ニコライ1世の3代の戴冠式の委員会議長も務めた名廷臣。数か国語を操り、若き日にはドイツ・ライデン大学に留学。イタリアを舞台にロシアの秘密外交に活躍する、エリート外交官でもあった。


帝室絵画コレクションを蒐集しエルミタージュの長官となった。今、当美術館でレンブラントを観ることができるのは彼のおかげである・・・





"若き日にはドイツ・ライデン大学に留学。イタリアを舞台にロシアの秘密外交に活躍する、エリート外交官"!!

もしかして、アーレンスマイヤ家との繋がりや隠し財産はこの時から?


引用の続きは、第2部A 31へ 


参考サイト
Wikipedia