最後の皇帝、ニコライ2世一家も大のお気に入りだったツァールスコエ・セロー。エカテリーナ宮殿などが集まる避暑地で、リツェイ(学習院)も併設されています。
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サンクト・ペテルブルクのヴィーチェプスク駅からツァールスコエ・セロー駅まで、初めての鉄道が敷設されました。
ヴィーチェプスク駅は、サンクト・ペテルブルク市内にある、次の5つのターミナル駅のひとつです。開業当時は、ツァールスコエ・セロー駅でした。その後、ヴィーチェプスク(現在のベラルーシ共和国の都市)まで延伸され、現在の名前となりました。
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ロシアでは、それぞれ列車の目的地が駅名になっています。原作で登場するのは、モスクワ駅とフィンランド駅ですね。
・Moсковский вoкзал モスコーフスキー駅
(モスクワ、シベリア、クリミア方面)
・Витeбский вoкзал ヴィチェプスク駅
(ベラルーシ、東ヨーロッパ諸国)
・Балтийский вoкзал バルチースキー駅
(バルト三国)
・Финляндский вoкзал フィンリャンツキー駅
(フィンランド)
・Ладожский вoкзал ラドジスキー駅
(ラドガ湖、ムルマンスク)
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ターミナル駅とは、鉄道路線の末端に位置する鉄道駅で、終点、終端、端末を意味する、"ターミナル"(terminal)が語源。
日本では"複数路線が乗り入れている、大きな駅"という意味で使われていますが、都市形成の歴史が異なるヨーロッパでは、大都市に、行先ごとのターミナル駅があります。その場合、日本の東京駅のように、九州方面からの列車で着いて、駅の中を歩いて、東北方面に行く列車に乗れる構造になっていません。
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駅に関連するロシア語を紹介しましょう。
・駅 станция
銀座駅 станция《Гиндза》
・ターミナル駅 вoкзал
東京駅 Toкийский вoкзал
・地下鉄の駅 станция мeтро
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さて、日本では、続々とミニミニコンビニに置き換えられ、死語となりつつある駅の売店を指す、キオスク(JRグループでは、Kiosk キヨスク)。ロシア語では、киoск。
元々はペルシャ語の"クシュク"で、"日陰を作るもの"。庭園の離れや東屋から発し、現在、欧米では、大きく開いた窓のある、売店などに利用できる仮設小屋を指しているそうです。
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以下、アエロフロート機内誌(2015年秋号)掲載の、《華麗なるダイナスティ ユスポフ家》からの引用記事です。
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・・・ユスポフ家には代々26歳以上になると、男性家系継承者が一人しかいないという呪いがある。それを知る兄のニコライは、フェリックスの誕生を嫌っていた。
ニコライは祖父に似て、演劇や音楽を愛好し、その一方、サンクト・ペテルブルク大学法学部を卒業する、才能豊かな青年であった。
そして、1908年のある日、アルヴィド・マンテイフェリ伯爵の婚約者マリヤに惚れ込み、ついには決闘で、26歳で死亡した・・・
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4歳上のお兄さん、まさか"彼"を虐めていませんよね? まさか始末しようとか、していませんよね?
でも、「ふん…低能な女どもが恋に身をやつすのはうんざりするほど見てきた」の"女ども"に、マリヤは確実にカウントされていたことでしょう。
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