翡翠の歌

歌詞の意訳




現在、YouTubeや楽譜で容易に入手できるのは、映画サントラ版と、その短縮版(ロシア歌集やNHKロシア語講座テキスト等に掲載)の二つですが、サントラ版が完全版か、というと、それが違うのが困りもの。

【戸惑う点】
@短縮版の0番がサントラ版にない
A並びが逆

この主題歌は娘アレクサンドラに話しかける形で進んでいくので、@はともかく、Aでは流れが素直でなくなってしまっています。そこで私は欲張って、サントラ版に欠けている0番も加えて、サントラ版の順番で並べて大きく意訳してみました。


サントラ版
1番 → Aサビ → 2番 → Bサビ → 3番 → Bサビ → Aサビ

短 縮 版
0番 → Bサビ → 2番 → 1番 → Aサビ

意 訳 版
0番 → 1番 → Aサビ → 2番 → Bサビ → 3番 → Bサビ´ → Aサビ´
(お断り:AサビとAサビ´、BサビとBサビ´は原文は同じものですが、敢えて少し違えて訳しています)





"ローマは一日にしてならず"
モスクワも一日で作られたのではなく
幾たびも戦火に焼かれ、灰の上に成長した
緑は大空に向かって伸びていき
人々が懸命に耕した大地に根を張った


1
一度で何もかもうまくいくことなんかないのよ
このモスクワだって一日で今のようになったわけじゃないんだもの
だから、モスクワは簡単に流れ出る涙なんか信じないの
愛を信じるの
降り積もった雪や、繁った緑、温かい人々、
そして、片隅に生えた小さな木を信じるの


A
ねえ、アレクサンドラ、モスクワは私たちの街で、一心同体よ
街の様子を御覧なさい
どんな悲しみも癒してくれるわ
ほら、環状道路が、もらえなかった結婚指輪に見えるでしょう?


2
街路樹のナナカマドが赤く染まって、オークは堂々とそびえ立っているわ
その中でトネリコは一人で大きくなったのよね
きっとモスクワはもっと豊かな緑をまといたくて、
どんな小さな木のためにも居場所を与えているのよ


B
ねえ、アレクサンドラ、あそこで飛び交っているのは何かしら?
ああ、トネリコの種がワルツを踊っているんだわ
田舎者のトネリコが懸命にウインナワルツを踊っているのよ
大丈夫、トネリコだってこのモスクワで芽吹いて育っていけるわ


3
モスクワには心があるの
トネリコの苦労や悲しみに寄り添ってくれる
モスクワの愛は深いものなの
誠実で純粋な、昔から受け継がれてきたその愛より深いものはないわ



ねえ、アレクサンドラ、あそこで飛び交っているのは何だった?
そう、トネリコの種がワルツを踊っているのよね
田舎者のトネリコが懸命に都会のワルツを踊っているの
大丈夫、そんなトネリコだってこのモスクワで何とか生きていけているわ



ねえ、アレクサンドラ、モスクワは私たちの街で、一心同体よ
街の様子を御覧なさい
どんな悲しみも癒してくれるわ
ほら、環状道路が未来の結婚指輪に見えるでしょう?