知らないままでいるのも落ち着かないので、書籍やインターネット上に公開されている様々なサイトを読み漁り、『おおきなかぶ』の"かぶ"について調べてまとめ、考察しました。参考資料や思考の不足、勘違いがあるかもしれませんがどうかご容赦ください。
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【アブラナ科の植物】
世界中には見た目の異なるアブラナ科の植物が多種類あります。元々他種とも自然交配しやすい上、荒れ地でも収穫が見込めるため古来より広く栽培され、更に品種改良も盛んになされてきましたので種類が多すぎて(『植物界の犬』と表現されているそう)、アブラナ科のルーツや全体像は未だに解明し切れていない分野だそうです。そこで私の拙い思考で大雑把に分類してみました(間違っていたらごめんなさい)。
<アブラナ科アブラナ属ラパの変種>
例:白菜、チンゲン菜、小松菜、野沢菜、日本の白い"かぶ"など。
大きく2つの系統がある。
@中近東から地中海沿岸産のヨーロッパ系
Aアフガニスタン原産のアジア系
<アブラナ科アブラナ属セイヨウアブラナ>
例:搾油用に広く栽培されているセイヨウアブラナ
このセイヨウアブラナの
変種の一つが"ルタバガ"で、
『おおきなかぶ』の"かぶ"です↓
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【ロシア語で"かぶ"を表す単語репаは、"ルタバガ"と同一ではない】
単語репаは植物学上の分類は無視し、"かぶ"のような形の葉と茎と根っこを持つ作物をさしているようです。そして、その中に含まれる作物の例を二つあげます(他にもいろいろあると思います)。
・брюква・・・ルタバガ(=スウェーデンカブ) アブラナ科アブラナ属セイヨウアブラナの変種
・свёкла・・・ビーツ(=血カブ) ヒユ科フダンソウ属ビート
さて、"репа"と語り継がれてきた民話ですから、もしかしたら"ルタバガ"ではなく他のカブ型の作物をさした可能性もありますが、貧農(農奴)の主食同様であり続けた大事な"ルタバガ"をさしていると考えるのが順当でしょう。そして、ロシア人作家による絵本(挿絵)が登場し、視覚的にも決定づけられました。
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【"ルタバガ"とは】
原産地はスウェーデンとされます。アメリカではrutabagas、イギリスではSwedish turnip、スコットランドではneep、日本ではスウェーデンかぶ、スウィード、カブハボタンとも呼ばれ、外見は下("かぶ"の部分)や上(葉)の形状が"かぶ"に似ていて、上下とも食べられます。中身も皮も薄い黄色ですが、品種によっては白いものもあります。
耐寒温度がマイナス15℃と言われるほど寒さに強く、栽培しやすく、収穫後の貯蔵性も高く、煮込んでも形が崩れにくいことから寒い地域で栽培、食されています。今でもスコットランドではマッシュを付け合わせにするなど、欠くことのできない食材です。
因みに、収穫祭であるハローウィンで、かぼちゃを顔の形にくり抜いて明かりを灯す"ジャック・オ・ランタン"は、その起源であるアイルランドではルタバガを用いていましたが、アメリカへの移住者がカボチャで代用したのが始まりと言われています。