一言で言えば、後から登場したジャガイモに駆逐されてしまったのです
ヨーロッパやロシアで主食の一つとして"ルタバガ"が食べられていた時代には、ジャガイモはありませんでした。ですから皆これで満足していたわけですし、それが大きく育つことは願いでもあり、嬉しいことだったでしょう。
しかし次第にヨーロッパの国々でジャガイモが広まり、ピョートル大帝が外遊の際、ジャガイモの富国強兵におけるメリットを知り、ヒマワリ(種から搾油する)と共に自国でも栽培を奨励しはじめたのです。以降、紆余曲折はありましたが、農民も一度ジャガイモの良さを知ってしまうと、もう"ルタバガ"には戻れなかったのでしょう。
* * * * *
ジャガイモの、他に代えがたいメリットを、のちのちに判明したことも含めて列挙します
・寒冷地でも荒地でも栽培可能
・生育期間が短い
・他の作物よりも出来不出来の差が少ない
・小麦より反収がある(一説には三倍)
・地域によって年二、三回の収穫が可能
・地下茎なので、地上部が虫や鳥にやられても、軍靴に踏み荒らされても、それなりに無事である
・貯蔵性に優れている
・"ルタバガ"より、デンプンを多く含み、カロリーも倍
・野菜であると同時に穀物としても位置付けられる。主成分がデンプンなので、国によっては主食とされている
・ビタミンCに富むので船乗りや兵士の食料に適する
・ビタミンCは加熱や長期保存により失われやすいが、ジャガイモのはデンプン質に包まれているので失われにくい
・食用だけでなく、デンプンを製造し、さまざまな食材や添加物、蒸留酒の原料に使える
・形状や加熱の具合、水分量により多種多様な食感となり、様々な調味料や油脂、乳製品などとの相性が良い
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【栄養価の比較表】
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ルタバガ |
ジャガイモ |
日本の白いかぶ |
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ルタバガ |
ジャガイモ |
日本の白いかぶ |
エネルギー |
37kcal |
76kcal |
28kcal |
ナトリウム |
12mg |
1mg |
67mg |
水分 |
89.43g |
79.8g |
91.87g |
カリウム |
305mg |
410mg |
191mg |
タンパク質 |
1.08g |
1.6g |
0.9g |
カルシウム |
43mg |
3mg |
30mg |
脂質 |
0.16g |
0.1g |
0.1g |
マグネシウム |
20mg |
20mg |
11mg |
炭水化物 |
8.62g |
17.6g |
6.43g |
リン |
53mg |
40mg |
27mg |
食物繊維 |
2.3g |
1.3g |
1.8g |
鉄 |
0.44mg |
0.4mg |
0.3mg |
ビタミンB6 |
0.10mg |
0.18mg |
0.09mg |
ビタミンC |
25mg |
35mg |
21mg |
ルタバガ:FoodsLinkに掲載されていたアメリカ農務省農業調査局National Nutrient Database for Standard Referenceより
ジャガイモ、日本のかぶ:wikipediaに掲載されていた文部科学省日本食品標準成分表からのデータより