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翡翠の歌
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ロシア雑記
かぶ料理はどこへ?
1、日本でもなじみ深いロシアの絵本『おおきなかぶ』
2、それなのに、"かぶ料理"がロシア料理のレシピ本に見当たらない
3、『おおきなかぶ』の"かぶ"は、"ルタバガ"
4、"ルタバガ"の形はビーツ、味と食感はジャガイモ似の大根
5、"ルタバガ"はどこへいったのか
6、最初は忌避され、やがては国難を救ったジャガイモ
7、ロシアに伝わったジャガイモ
8、何となく境遇の似ている『芋粥』の"甘葛煎"
9、『ルタバガの冬』という汚名
10、日本での"ルタバガ"
11、今、日本でおいしい"ルタバガ料理"を食べるには
12,参考書籍・参考サイト
4、"ルタバガ"の形はビーツ、味と食感はジャガイモ似の大根
【まずは実物を見たい、食べたいと思い、購入しました】
幸い"珍しい西洋野菜"や"伝統野菜"(日本も明治以降栽培導入の歴史がある)としての需要があるようで、ごくわずかながらも国内でも生産されており、今回は山形からネット通販で購入しました。2021年2月時点で、価格は100gあたり120円、一個768gもあり、それに宅配便(冷蔵)もかかり、2000円弱でした。一般家庭で「日常的に買い続ける」食材としては高価です。
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【形状】
形状や持った感じはビーツに似ています。日本の"かぶ"より硬くてずっしり、薄い黄色の表皮はごつごつ、ごわごわしていて、ひげ根がひょろひょろ出ています。店頭に並ぶ日本の"かぶ"のように形が揃っている、相似形である、ということはなく、ビーツ同様、一つ一つ異なるようです。
←反対側
←頭頂部
半分に切ってみると、中身は緻密で、全体に均一の薄い橙色。じわっと透明でほんのり甘い水分がにじみ出てきます。断面はジャガイモと大根の中間のように詰まっていて、ほんの少し筋が見える感じです。
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【食べてみました】
日本で育てている方や調理経験のある方によると、ジャガイモのような食べ方がおいしいそうです。
<生で>
大根より硬いので薄くスライスしてみました。食感、味共に大根4にジャガイモ1の感じ。ほんの少し、大根にはないねっとり感があります。バーニャ・カウダやナムルにしてもよさそうです。
<素揚げで>
拍子切りにしてなたね油であげてみました。食感、味共に大根3にジャガイモ1の感じ。大根のような水っぽさが際立ちます。揚げ立てはほくほくしていますが、しばらく置くと余計に水っぽく感じました。
←拍子切りにしたところ。揚げた画像もほぼ同じでした。
<煮込みスープで>
大き目の角切りにしてジャルコーエにしてみました。食感、味共に大根1にジャガイモ1の感じ。ジャガイモでも大根や日本の"かぶ"のようではなく、生や素揚げの時よりねっとり感、ほくほく感が増しました。
←煮崩れもなく、元の色も保っています
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【感想】
現代の日本に生きる私にとって「何かと代えがたいほどおいしいか」と聞かれれば「そうでもない」と答えざるを得ませんが、ジャガイモがなかった場合、煮込みスープの食材としてはよさそうとは思います。
ロシアの料理の基本はペチカで煮込み続けるスープですから、その昔、煮崩れしにくく、ほかの食材の味がしみ込んでおいしくなり、腹持ちもする"ルタバガ"は欠かせない食材だったことでしょう。しかも寒さに強く、貯蔵性が高ければ尚更ですね。